2009/6/5 金曜日

サルーキの狼爪(ろうそう又はおおかみづめ)について。

Filed under: サルーキについて,ニュース — TAZI @ 3:01:52

サルーキの狼爪について記載します。これは重要なことだと思います。
サルーキの前足には一般に「狼爪」といわれる爪があります。
(下の写真印の部位)
duclaw.jpg
これは爪といっても人間に例えるなら指(親指)にあたります。
この部分は爪ではなく指になるので、もちろん骨や関節があります。
日本では多くの繁殖者がこの指を切除します。
私も今日まで日本のサルーキの繁殖例に学びブリーディングの際はそれを獣医にて切除をしてきました。
切除をする理由は「この指は怪我をしやすいから」もしくは「切除したほうが足がきれいに見えるから」という事を聞いていました。私は後者の理由はあまり納得がいきませんが、「怪我をしやすいから・・・」というのには「そうなのかもしれない・・・」と思っていました。
しかし・・・2007年のアメリカのナショナルドッグショーと2008年のニューメキシコでのサルーキによるハンティングなどの経験や、世界の多くのサルーキブリーダーとの交流によってその疑問は大きく膨らむことになりました。
アメリカのナショナルドッグショーでは何百頭ものサルーキが集まっていましたが、その殆どのサルーキたちの前脚にはその指は切除されずにちゃんと残っていました。そして荒れた荒野でのハンティングを行うサルーキたちの前脚にもその指は残されていたのです。もちろんTAZIがインポートしたTooreg , Rooge , Tooneesia , Tabascoたちにもその指は残っています。
私は今までの事は間違いではないのか・・・と思い、海外の多くのサルーキブリーダーたちに問い合わせてみました。
その回答をここでご紹介いたします。 これは重要なことであり、貴重な回答であると思いますので是非ご覧ください。

はじめにアメリカのChubascoケンネル のJo-Annさんからのお言葉です。
Jo-Annさんは獣医師であり、サルーキとの生活は45年以上です。現在ではオープンフィールドコーシング(サルーキでのハンティング)をメインにご活躍されています。
※ その部位の解剖学的正しいDigitナンバー1 一般にはDuclawまたはDewclaw呼びます
この指を切除することの始まりはショードッグを示す人たちから始まりました。その指を取り除く理由は医学的に考えて、ありません。そしてそうすることによって逆に手首を弱めることになるでしょう。私は医学的理由が無い限り、神が犬につけたものを取り除くことをしません。 そして、あなた(私の事)も知っているとおり、私の犬たちは起伏の多い荒れた場所でハンティングを行っていますが、今までに
Duclawに大きな重傷はありません。
サルーキたちは身だしなみの時にこの
Duclawを使います。そして彼らの目やその他をきれいにします。・・・

Jo-Annさんらしい尊敬する回答をいただきました。
また獣医師のお言葉であると思いました。サルーキのハンティングでは何十年もの経験をもつブリーダーであり、多くの国のサルーキドッグショーの審査員をもされるサルーキのスペシャリストです。

次にフランスのサルーキブリーダーからのお言葉です。
※ その指を切除するのは その人の考えです。 切除する人は危ない場所で狩をする人が多いです。爪がはがれたりして血がたくさん出ますが大きな怪我ではありません。 「指が無いほうがきれい」っていうことには関係ありません。 コーシングをたくさんする場合はこんなもの(写真をつけてくれましたが画像が見れませんでした・・たぶんバンテージのようなものだと思います)をつけるといいでしょう。 私の場合は指の切除はしません。

次はベルギーのサルーキブリーダーからのお言葉です。
※ ヨーロッパでこの指を切除する人は少ないです。しかし私は安全のために切除します。始めに飼ったサルーキが子犬の頃にこの爪をはがしました。左前脚に2~3センチの傷をし、縫ってもらいました。
私は生まれたその日にこの指を切除します。この指はサイトハウンドには必要ないと思います。怪我のもとになるだけだと思います。・・・

人それぞれに様々な考えがあるようです。。。
私が思うには「どの答えが正しくて、どの答えは間違っている」というものではないように思います。
「どれが正しくて、どれが間違っている」のではなく、「自分はどいう考えでそれをしないのか」「どういう考えでそれをするのか」というところにあると私は思います。
それにはやはり知識が必要だと思います。知識を身につけるのに一番いいことは実際に見ること、体験すること。次に実経験の豊富な方より実際聞いて学ぶことが大切だと私は思います。この狼爪の経験に関してはコーシングなどが行われる海外の情報が必要だと私は思います。

おそらく海外から日本へインポートされたサルーキたちのほとんどにその爪はついているのではないでしょうか・・・。
サルーキを自由に運動させられる場所の一番少ない日本では、その爪を切除する理由も一番少ないように私は思えます。

そして私は今後のブリーディングではこの指をそのまま残すこととします。
理由は生まれてきたそのままの姿でいること。やはり私の意志で身体の一部を取り除くことは私はしたくないからです。
Jo-Annさんの考え方と私も同じです。
またその爪があってもサルーキの足は私には十分にきれいに見えます。

今後のTAZIのブリーディングでは狼爪の切除をやめます。
それは私の回答です。

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